ホワイトハットSEOとブラックハットSEOについて具体例と対策を解説
検索エンジン最適化(SEO)へのアプローチには、ホワイトハットSEOとブラックハットSEOの2通りがあります。
推奨されるのはホワイトハットSEOであり、一言でいえば「ユーザーと検索エンジンの両者にとって良いサイトを目指すアプローチ」といえます。
対してブラックハットSEOとは、「検索エンジンのガイドラインを無視し、不正な手法を用いて、短期的な利益を追求するアプローチ」です。
今回は、ホワイトハットSEOとブラックハットSEOの違いや、その歴史、ホワイトハットSEOで意識すべきポイントについて解説します。
ホワイトハットSEOとは?
ホワイトハットSEOは、正当な手法に基づくSEO対策です。
正当な手法とは何か、例を以下に挙げます。
- 検索エンジンのガイドラインに従う
- ユーザーニーズに合わせた高品質なコンテンツを作成する
- ユーザビリティ(UIUX)を意識して、サイト内の技術的な最適化を行う
- サイトの信頼性と信頼性を高める
中でも、「検索エンジンのガイドラインに従う」ことはSEOの原理原則です。Googleが提供する「ウェブマスター向けガイドライン(Google 検索の基本事項)」を必ず一読しておきましょう。
忙しい方向けに、わかりやすく要点をまとめた記事も作成してありますので、こちらもチェックしてみてください。
ホワイトハットSEOとは、正攻法のSEO対策と理解すると良いでしょう。
ブラックハットSEOとは?
ブラックハットSEOとは、不正手法を用いたSEO対策です。
具体的には、以下のようなSEO対策がブラックハットSEOにあたります。
ブラックハットSEOにあたる手法名 | 意味 | 具体例 |
---|---|---|
リンクスパム | 不正な手法を使用して大量のリンクを生成すること |
|
隠しテキスト | ユーザーには見えない形で、検索エンジンに伝えることのみを意図し、テキストを挿入すること |
|
コンテンツ内に過剰な数のキーワードを無理矢理に詰め込む手法 | テキストやHTMLのメタタグ(title属性など)、画像のalt属性、隠しテキストなどに、キーワードを詰め込む | |
悪質なリダイレクト | 正当な目的でなく、ユーザーにとって迷惑なリダイレクト |
|
リンクファーム | 多数のWebサイト同士が、関連性を考慮せず、相互にリンクを貼り合うこと | 大量のブログやページを作成し、それらを相互にリンクさせる |
自動ブログコメント投稿 | 自動化ツールを使用して大量のブログに自動的にコメントを投稿し、不正なリンクを獲得すること |
|
読んでも意味がわからない、支離滅裂(しりめつれつ)なテキストのこと | 自動生成テキストの量産やキーワードの詰め込み |
上記のような手法を用いたSEO対策は、ユーザーに迷惑や不利益を与えます。
そのため、現在の検索エンジンでは、ブラックハットSEOはガイドラインの違反事項です。
今はホワイトハットSEO、ブラックハットSEOは過去
ブラックハットSEOが乱立した2000年代以降、以下のように、検索エンジンのアップデートを通して、現在はホワイトハットSEOが主流となっています。
- 2000年代:ブラックハットSEOの流行
- 2012年:パンダアップデート、ペンギンアップデートの実施
- 現在:ホワイトハットSEOが主流
2000年代:ブラックハットSEOの流行
Google検索エンジンの仕組みやガイドラインがまだ現在ほど確立されていなかった2000年代は、ブラックハットSEOが流行しました。
とくに、スパム的に大量の被リンクを獲得し、品質の低いコンテンツの順位を上げるような事例が多かったです。
ブラックハットSEOを行う業者も増えました。
その結果、検索結果にはユーザーが求める情報が表示されなくなってしまうことに。
ユーザーにとっても、真面目にコンテンツを作るサイト運営者にとっても、検索エンジンは満足度の低いサービスとなってしまっていたのです。
2012年:パンダアップデート、ペンギンアップデートの実施
2012年、2つのアルゴリズムアップデートの実施により、ブラックハットSEOで汚染された検索エンジンが改善しはじめます。
ペンギンアップデート(2012年4月)
ペンギンアップデート以降、主に「リンクの品質」が評価されるようになりました。
不自然なリンク構造や、スパム的な被リンクは評価されないようにアルゴリズムが改良。
ブラックハットSEOにより被リンクを集めた低品質なコンテンツは、検索順位が下がるようになりました。
パンダアップデート(2012年7月)
「リンクの品質」を重視するペンギンに対し、パンダアップデートは「コンテンツの品質」に焦点を当てています。
より高品質なコンテンツが、検索上位に上がるようなアルゴリズム改善がされました。
具体的には、コピーコンテンツや重複コンテンツなどが、低品質と捉えられるようになるなどです。
現在:ホワイトハットSEOが主流
ペンギン、パンダ以外にも、Googleは継続的にアルゴリズムアップデートを続けており、現在はホワイトハットSEOが主流です。
ホワイトハットSEOというと堅苦しく意味が分かりにくいですが、私はシンプルに「ユーザーのためになるコンテンツ作りをし続けること」と捉えています。
もっと言えば、「ユーザーがずっとGoogleを使い続けいたいと思えるよう、良質なコンテンツが検索結果に溢れる状態を目指すこと」が、現在の正しいSEO対策と考えています。
真面目に丁寧にコンテンツ作りを続け、泥臭く丁寧に被リンクを獲得し続けることが大切です。
ホワイトハットSEOで意識すべき5つのこと
ホワイトハットSEOにおいて意識すべきことは以下の3つです。
- 良質なコンテンツをつくる
- コンテンツを磨き込む
- コンテンツのUIUXを意識する
- リンクを正しく貼る・獲得する
- クローラーが評価しやすいサイト設計をする
いずれもあたり前のSEO対策ですが、ホワイトハット・ブラックハットの歴史を振り返りながら、ひとつずつ重要性を再確認してきましょう。
低品質なコンテンツは作らない
低品質なコンテンツとは、他サイトからのコピーコンテンツや、自動生成された無意味なテキスト、支離滅裂なワードサラダなどです。
パンダアップデートにより、低品質なコンテンツは評価されなくなりました。
ただし、ブラックハット的なSEO対策は避けているとしても、そのコンテンツが「良質かどうか」は別問題です。
SEOは、人間の手で文章を書けば必ず検索上位に上がる、というものではもちろんありません。
良質なコンテンツを作るには、次の「磨き込み」が重要になります。
コンテンツを磨き込む
コンテンツは作っておわりではなく、磨き込みにかかっていると言っても過言ではありません。
記事は定期的にリライトを行い、品質を保つ・向上し続けるべきです。
そのためには、以下のような磨き込み施策を行う必要があります。
- 情報を最新の状態に維持する
- E-EAT(経験、専門性、権威性、信頼性)を高める
- インフォグラフィック(図解)を挿入する
- 不要な情報を削除する
- ユーザーが知りたい情報にいち早くアクセスできるよう、結論ファーストにリライトする
たとえば、素人が風邪の治し方について書いた記事は、検索上位には出ません。
風邪の治し方についてGoogleが検索上位に上げたいのは、医師・病院など権威性のある著者が提供し、適宜イラストや図で解説のあるコンテンツのはずです。信頼性がある情報で、かつ、わかりやすい記事を、我々も読みたいですよね。
コンテンツの質で検索順位を上げることを「コンテンツSEO」といいます。ブラックハット的なSEO対策をしないだけでなく、「ユーザーファーストなコンテンツ作りをしているかどうか」も、強く意識していかなければならない時代です。
コンテンツのUIUXを意識する
コンテンツのUIUX改善も、コンテンツSEOの一貫です。
最近では、単に「テキストに間違ったことが書いていないか」「テキストが読みやすいか」といったことだけでは、検索順位にインパクトを与えられなくなってきました。
ユーザーが快適な体験をできるかどうかも、SEOに関わってきます。
たとえば、以下の図は、同じ表で、異なるCSSを当てた状態です。
左の図は、右端列が長文なのにもかかわらず大変詰まっており、読みづらくなっています。スマホで読むと、とても読めたものではありません。ユーザーは読んでいる途中で、「不快感」を感じてしまうでしょう。
右のように列の横幅を調整する、あるいは表を横スクロール可能にするなどし、ユーザーが見やすい形に改善する必要があります。
このように、表の見栄え、図解の挿入、クリックやタップのしやすさ、スクロールのしやすさといったUX(ユーザー体験)も、今後のSEOで強く意識するべきポイントです。
リンクを正しく貼る・獲得する
リンクを正しく貼ること、正しい方法で被リンクを獲得することも、ホワイトハットSEOにおいて重要です。
SEOにおいて、またHTMLというマークアップ言語において、「リンク」は大きな力を持っています。
リンクという機能があるおかげで、ページ間の関係性や、ページの信頼性を正しくクローラーに伝えられるためです。
リンク施策が重要なだけあって、自動で大量リンクを獲得するようなブラックハットSEOも横行しました。
現在では、そのようなスパム的リンクは関連性や信頼性の評価に役立ちません。
クローラーが評価しやすいサイト設計をする
クローラーが評価しやすいサイト設計とは、たとえば以下のようなものです。
- サイト内のページの構造を、シンプルで階層的にする
- XMLサイトマップを作成し、重要なページや更新頻度の高いページなどを伝え、効率的に回遊させる
- タイトルタグ、メタディスクリプション、ヘッダータグなどのメタデータを最適化する
- ページの読み込み速度を向上させる(画像の最適化、ブラウザキャッシュの有効化、コードの最適化など)
こういったサイト自体のSEO対策については、現在のほとんどのWordPressテーマなどでデフォルトで機能があったり、プラグインで簡単に実装できたりします。