SEOでリンクは重要だが、もっとも重要な要素ではない
SEO対策において、内部リンク・被リンクなど、リンクに関連する施策は最重要項目として取り組んでいる方が多いと思います。
しかし「リンクはSEOにおいて最重要ではない」という話をご存知でしょうか。
リンクが最重要ではないとしたら、何か重要なのか、関連して考察します。
リンクは最も重要なSEO要素ではない
Googleのジョン・ミューラー氏が2020年7月に下記のようなツイートをしています。
Links are definitely not the most important SEO factor.
— John Mueller (official) · #StaplerLife (@JohnMu) July 31, 2020
リンクは最も重要なSEO要素ではない。
そもそも、なぜリンクが最重要とされてきたのでしょうか。
SEOや検索エンジンアルゴリズムについては時代による変化が激しいので、歴史的な背景を見ながら振り返ります。
SEOでリンクが重要とされた背景
SEOではしばしば、「リンク」が重要な存在とされています。その主な理由が以下のとおりです。
- リンク(の数と質)が権威や信頼性を示すため
- リンクによるページランクがGoogleにより強調されていたため
- リンクでユーザーエクスペリエンス(UX)が向上するため
リンク(の数と質)が権威や信頼性を示す
WebサイトAが高品質な情報を提供しており、それに関連するサイトであるBから多くの被リンクを受けている場合、「Aはその情報の権威と信頼性が高い」とみなされます。
単に被リンクが多いだけでなく、信頼性があり、かつ関連しているという「被リンクの質」も重要視されている背景があります。
リンクによるページランクがGoogleにより強調されていた
「PageRank(ページランク)」というアルゴリズムが存在しました。これは、被リンクの数や質でページを11段階評価する仕組みです。
ページランク自体は2016年に廃止されましたが、Googleがこのようなアルゴリズムを大々的に公表し、リンクが重要な指標であることが過去に強調されていました。
ページランクが廃止されたこと自体が、現在のSEOにおいて単にリンクだけが重要ではないということを表しているかもしれません。
リンクでユーザーエクスペリエンス(UX)が向上する
リンクがあることで、ユーザーが情報の探索をしやすくなるというユーザーエクスペリエンス(UX)上のメリットがあります。
たとえば、「おすすめのドラム式洗濯機」の記事を読んでいて、ある商品が欲しくなったら、その商品の購入ページや口コミ・評判まとめ記事へリンクしてあると、ユーザーは必要な情報をすぐに手に入れられるはずです。
「リンクジュース」とはなんだったのか
「リンクジュース」とは、リンクを通じてWebページが受け取るとされる価値のことを指します。リンク元からリンク先へジュースのように評価が流れることから付けられた用語です。
リンクジュースは2000年代初頭にSEO界隈で用いられるようになった言葉で、Google公式のワードではありません。
ちなみに、ジョン・ミューラー氏はリンクジュースについて下記のように言っています。
Of course. But if all you've read uses the term "link juice", it's almost certainly wrong, and you should instead focus on the basics instead of worrying about "link juice". Make a website, watch your server logs, learn how search works, understand your users. Make a better site.
— John Mueller (official) · #StaplerLife (@JohnMu) July 31, 2020
もし「リンクジュース」という用語を使っているものを読んだら、それはほぼ間違っている可能性が高い。「リンクジュース」にこだわるのではなく、基本の対策に集中するべきです。Webサイトをつくり、ログをみて、検索の仕組みを学び、ユーザーを理解する。より良いサイトを作ることが大切です。
よってリンクジュースについては、深く理解する必要はありません。ジョン氏がいうように、シンプルにユーザーが使いやすく、目当ての情報を探しやすいサイトを作ることが、結局のところ重要とのことです。
SEOにおいてリンク以外に重要な要素
リンクは最も重要ではないとしたら、何がSEOで重要なのでしょうか。考えられるのは以下のような要素です。
- コンテンツの質(E-EAT)
- ユーザーエクスペリエンス(UX)
- ページの表示速度
- 構造化データ対策
- タイトルの付け方
どれが最も重要かはわからない、というというのが私の認識です。ひと昔前のSEOよりも、検索順位に影響する要因が増えて、かつ複雑になっているため、「これだけ最優先でやれば伸びる」という指標はなくなったと思います。総合格闘技的なSEO対策が必要です。
とくにコンテンツの質に関して、昨今のSEOではEAT、つまり「専門性・権威性・信頼性」が重視されています。加えて2022年からは新たな「E=Experience(経験)」が評価基準に追加されました。
いわゆる「こたつ記事」、ネットで寄せ集めたような2次情報のコンテンツはますます評価されなくなっています。被リンク対策だけ頑張っても、価値のないコンテンツでは伸びないのが現在のSEOです。
そのほか、Webサイトの使いやすさ・ページの表示速度など、ユーザーがいかに快適に情報検索できるかも、重視されてきています。ほとんどのユーザーがスマホで検索しているため、「小さい画面で片手でサクサク検索できるか」というのも、昔のSEOにはなかった評価軸です。
まさに「経験・専門性・権威性・信頼性」が重要視されるようになったり、スマホの浸透によってUXも大切になったりと、SEOにおいて重要な指標は年単位で更新されています。リンク施策以外にも大切なSEO対策がないか、日々のトレンドに敏感に反応していく必要がありそうです。